正午起床。パク・ミンギュ/ヒョン・ジェフン、斎藤真理子訳『カステラ』を一〇分読んでから便所に行ってきて、瞑想に入る。二〇分間。食事は前夜の残りのカレーを食べた。新聞、「「首都エルサレム」米孤立 安保理 無効決議案に拒否権」(二面)、「日韓合意の履行迫る 日韓外相会談 韓国側 確約はせず」(二面)、「アッバス氏 米の拒否権批判 パレスチナ議長 「無効」決議案否決」(一一面)、「欧州の選択 カタルーニャ問題: 州議会選 勢力伯仲で最終日 中央政府、独立派に圧力」(一一面)、「フーシがサウジに弾道ミサイル発射 有志連合軍は迎撃」(一一面)を読む。カタルーニャ問題の記事に紹介されていた「(……)バルセロナ市内では、黄色の光を使うことが禁止されている。国家反逆罪などで拘束下にある独立派のジュンケラス前州副首相ら4人の釈放要求を象徴する色だからだ。選挙を取り仕切る国の中央選管が独立反対派政党の訴えを認めたもので、噴水や建物を黄色でライトアップすることも認められていない」という小さな挿話はちょっと面白く感じられた。
室に下りると一時半頃でないか。四〇分から書き物。一九日の記事を進め、三〇分やったところで一旦中断。洗濯物を仕舞いに行ったのだと思う。タオルや肌着類を畳み、アイロン掛けもして、帰ってくるとふたたび書き物。三時まで。
その後、運動である。瞑想もそうだが、体操や柔軟運動をして身体を全体的に柔らかくしておくということも、精神の安定や意識の明晰さ、知覚の鋭さに関して非常に重要だと実感する最近である(この二つの事柄は相補的である)。tofubeatsの音楽を流しながら身体を動かし、その後音楽を聞いてから外出の支度に移ろうと思っていたところが、歌を少々歌ってしまった。それで四時直前から音楽を聞くので、時間がやや遅くなる。音楽はここでは、Bill Evans Trio, "All of You (take 2)", "Waltz For Debby (take 2)"にTHE BLANKEY JET CITY, "僕の心を取り戻すために", "胸がこわれそう"(『Red Guitar and the Truth』: #2-#3)。THE BLANKEY JET CITYの二曲は、『LIVE!!!』を聞くなかで気に入られて、スタジオ盤のほうを聞いてみたのだったが、こちらとしてはライブ音源のほうが断然格好良いと思われた。スタジオ音源のほうは、浅井健一の声質が妙にざらついており、フレーズの終わりなどで音価がやや長くなる時に、叫びが間延びするというか、暑苦しく、野暮ったいように感じられたのだ("僕の心を取り戻すために"について言えば、いわゆるサビ部分の背後に敷かれているギター(だと思うのだが)とキーボードの音色も、何だか釈然としない感じを受けた)。その後服を着替える際に、ライブ音源のほうを掛けてみたが、こちらとしては、ライブのほうが明らかに声が拡散せずに密に詰まっており、艶のようなものも微かに感じられないでもなく、歌い方も短く切れてクールだと思われた。
ゆで卵一つを摂取し、歯磨きや着替えや排便を済ませて家を発つ。往路の覚えはもはやない。労働中は、前日と比べると少々浮足立ったと言うか、急いたところがあったようである。帰り際に、戸口のところで(……)と少々話を交わした。(……)
帰路も覚えはない。と思ったが、職場を出ると(……)(中学時代の同級生)から久しぶりにメールが届いていたのだった。一月三日に飲み会をやるけれどお前も来るかという用件だった。正直なところ、全然話は合わないと思うのだが、(……)との間柄はわりと昔からそのような感じではある。誘いの一通には(……)(下の名前は確か「(……)」だったと思うが、漢字がわからない)の名前が出してあって、彼は中学時代、「勉強ができる」ほうの階層に属していた人間であり、大学も筑波大学かどこかに行って、確か院まで進んだのではなかったか? (……)とならば多少はこちらの興味を惹く類の話もできるかもしれないとこの時思ったのは事実であり、(……)もおそらくこちらの気持ちを惹くように敢えて彼の名を選んだのだろう。せっかくの誘いであるし何はともあれ行ってみるかと決めて、返信をしながらほかに誰が来るのかと訊いてみると、(……)(漢字がわからない)、(……)、(……)の名が返ってきた。(……)は何年か前の年末に同じような飲み会があった際に顔を合わせている(その時の会は大層退屈だった覚えがある)。(……)と(……)は中学校卒業以来、きちんと顔を合わせるということはなかったのではないか。果たしてこのような面子のなかで自分が場違いにならないか疑問なのだが、まあ別に黙って飯を食いながらその場にいるだけでも良いだろうと思う(黙っているのは得意なほうである)。何だかんだ言っても誘いを貰えたというのはありがたいことだと思うものだし、何かに誘われたからには気持ちが引けない限りはともかくも顔を出してみようかというスタンスで今のところはいる。一人で本を読んだり音楽を聞いたりするのも良いが、具体的な生身の人間と会って話を交わし、いくらかの時間と空間を共にするということはやはり、非常に多くの意味/情報/知覚を生むのだ。したがって、どのような方向であれ何らかの形で思考を駆動せしめるだろうし、たとえ退屈だったとしても日記に記すことの一つくらいは見つかるだろう。また、こうした世のいわゆる「本流/本線」に大方うまく乗って生きてきたであろう人々(本当にうまく乗っているのかどうか、それは彼ら自身にしかわからないが)と比較して、自分はそこから結構逸れた道行きを辿ってきたし、これからも辿っていくだろうという自覚があるものだから、こちらにとっては一種の明確な「他者」であると思われる彼らのものの見方や考え方を垣間見ることで、この世の中の大勢を知ったり、自分の位置づけを確認したいという気持ちもある(つまりは文化人類学的な興味ということだ)。
帰ると他人のブログを読んで、食事を取る。カレーの残滓がこびりついた鍋を利用して作ったカレーうどんである。(……)一人きりの静かな居間で安息しながらものを食べた。その後入浴を済ませ、零時を回ってまた他人のブログを読んだあとは、油断して長くだらだらとしてしまった。書き物は諦めて、三時前から音楽を聞く。Bill Evans Trio, "All of You (take 2)"、Art Tatum, "Tiger Rag", "How High The Moon", "I Know That You Know", "Tatum Pole Boogie", "The Kerry Dance", "The Man I Love"(『Piano Starts Here / Gene Norman Presents An Art Tatum Concert』: #3,#5,#9,#11-#13)、Miles Davis, "The Man I Love (take 2)"(『Miles Davis And The Modern Jazz Giants』: #1)である。そこから一時間弱読書をして、瞑想もこなし、四時四五分に就床した。