2020/3/29, Sun.

 戦争の最後の数ヵ月は、ナチ・ドイツにとって、間違いなくもっとも多くの血が流された期間だった。一九四五年一月だけで、四五万以上のドイツ兵が命を落としている(イギリスやアメリカの大戦全体での戦死者数よりかなり多い)。二月、三月、四月のドイツ軍の戦死者はひと月あたり三〇万人に届く勢いだった。すなわち、第二次世界大戦中のドイツの全軍事的損失の四分の一以上が最後の四ヵ月に生じたことになる。ドイツが勝利する可能性がゼロだということも、戦い続ける軍事的根拠がないのも明らかだったのにだ。
 (リチャード・ベッセル/大山晶訳『ナチスの戦争 1918-1949 民族と人種の戦い』中公新書、二〇一五年、216)



  • またしても午後二時過ぎまで寝坊の淵に呑まれ続ける体たらくを晒すこととなった。
  • 前日に少々余して読みきれなかったWard Wilson, "The Bomb Didn't Beat Japan... Stalin Did"(https://foreignpolicy.com/2013/05/30/the-bomb-didnt-beat-japan-stalin-did/#)を片付け、もう一つ、これもWilsonの、概ね同趣旨の論文である"The Winning Weapon?: Rethinking Nuclear Weapons in Light of Hiroshima"(https://www.belfercenter.org/sites/default/files/files/publication/is3104_pp162-179_wilson.pdf)も通読した。そこで長谷川毅という歴史学者の名を知る。論文の端々で典拠に挙げられている日本出身の学者で――ウィキペディアによれば、一九七六年以来アメリカに帰化していると言う――、Racing the Enemy: Stalin, Truman, and the Surrender of Japan(Harvard University Press, 2005)という著作において、米国の原爆投下よりもソ連の参戦の方が日本の降伏決定に大きな影響を与えたという説を提示して、業界で物議を醸したようだ(この研究書の邦訳は、『暗闘――スターリントルーマンと日本降伏』として中公文庫に入っている)。Wilsonの論述もおそらく長谷川の路線をまっすぐ引き継いだものだと推測されるが、ただし彼の方はより踏みこんで、広島及び長崎への原爆投下は日本が降伏を決断するに当たってほとんど作用しなかったとまで明言しており、そこからさらに、原子爆弾の兵器としての有用性そのものに疑義を投げかける方向へと論を展開させている。
  • 「対談=中島隆博×納富信留 「世界哲学」、違和感からの再始動」(https://dokushojin.com/article.html?i=6736)も閲覧する。日本語で書かれたインターネット記事を読んだのは久々のことだ。毎日でなくても良いので、また少しずつ触れていき、本線の読書とは別種の情報も取り入れるようにしたい。
  • 午後六時前、居間に上がってアイロン掛けに働いたのだが、目の前のテレビで流される『笑点』が、新型コロナウイルス騒動のために無観客で執り行われていた。壇上の噺家たちをその場で観ている者はスタジオ内に散らばった番組スタッフのみであり、拍手も疎らで侘しいものだったので、演者たちも張り合いがなくてやりづらかったのではないだろうか。
  • Room Elevenの『Six White Russians & A Pink Pussycat』を流したが、終盤の"Bitch"が素晴らしい。この曲は彼らのオリジナルだと当然のように思っていたところが、実はMeredith Brooksという歌手の作品のカバーなのだった。それで原曲はどんなものかとYoutubeにアクセスして流してみると、カバーとはまったく別物の、いかにも暑苦しくて退屈な出来合いのロックに過ぎなかったので、何だこれ糞やんと思った。こんなダサい曲をあそこまでメロウに、スタイリッシュに作り変えて、物憂い情感が慎ましやかに香る行き届いた音楽として再生させたRoom Elevenの実力者たちのセンスは称賛に値する。


・作文
 24:12 - 24:25 = 13分(29日)
 24:25 - 24:54 = 29分(17日)
 24:59 - 25:19 = 20分(18日)
 25:24 - 26:18 = 54分(19日)
 計: 1時間56分

・読書
 15:10 - 15:34 = 24分(「英語」)
 15:35 - 16:11 = 36分(「記憶」)
 16:11 - 16:27 = 18分(Wilson)
 16:31 - 17:08 = 37分(Wilson)
 17:11 - 17:36 = 25分(熊野)
 17:51 - 18:36 = 45分(Wilson)
 18:37 - 18:50 = 13分(中島・納冨)
 20:39 - 21:29 = 50分(「記憶」)
 21:41 - 22:55 = 1時間14分(芝; 書抜き)
 26:28 - 26:47 = 19分(樫田)
 26:50 - 28:13 = 1時間23分(芝; 書抜き)
 28:16 - 28:48 = 32分(熊野)
 計: 7時間36分

・睡眠
 5:05 - 14:15 = 9時間10分

・音楽

  • JamiroquaiTraveling Without Moving』
  • Jesse van Ruller & Bert van den Brink『In Pursuit』
  • Maroon 5『Songs About Jane』
  • Nikolai Kapustin『Kapustin: Piano Quintet
  • dbClifford『Recyclable』
  • John Coltrane『Soultrane』
  • Cal Tjader Quartet『Jazz At The Blackhawk』
  • Cannonball Adderley『Somethin' Else』
  • Room Eleven『Six White Russians & A Pink Pussycat』
  • Horace Silver『Song For My Father』