こうして私は研究に没頭し、あっという間にまる一冊ノートを埋めてしまった。さまざまな怪物や空想生物の形態的特徴、彼らの伝説を構成する要素、恐怖の渦巻く世界において彼らがそれぞれ担う役割をそこに書き留めていったのだ。正直なところ、私は少し失望した。同じ話の繰り返しなのは一目瞭然だった。どの新しい物語も旧知の物語の混合物であり、そこに登場するどの生物も想像と経験の少し意外な混血児 [あいのこ] であることが露見した。要するに種の多様性に乏しく、むしろ本物の自然の方が架空の物よりいくぶん奇抜だった。これらの怪物の物語がそろって証明していたのは、せいぜい典型的なストーリーとモチーフを飽かず繰り返す粘り強さくらいのものだった。五百年ごとに炎の中で焼け死んで、自らの灰の中から甦る不死鳥 [フェニックス] 、尊大なスフィンクスとその謎解き、メドゥーサやカトブレパスやバジリスクの死のまなざし。最後に必ず退治される、ありとあらゆる種類の竜、硬い皮膚に覆われたその翼、大気を悪臭で満たす息、黄金への渇望、そして避けがたい彼らの血の海。異なる文化圏の空想動物すら、期待したような変化をもたらしてはくれなかった。基本的につねに同じだった。女性の純潔は守られるか、あるいは犠牲に供されなければならず、男性の勇敢さは証明されなければならず、獣は屈服させられ、異国の物は征服され、過去は克服されなければならなかった。こうした記述においてとくに気に食わなかったのは、わざと声を潜めて重大なことを話すような態度、前代未聞さを強調する大袈裟な身振り、迫り来る厄災あるいは太古に起きた厄災をほのめかす常習的手口だ(end68)った。そしてそれにもましてうんざりしたのは、そうした怪物の中に誤解された現実しか見ようとしない学者たちの導き出す結論だった。彼らには謎めいた物など一切存在しない。犬の頭を持つ民キノケファルは略奪行為をはたらくならず者の一団に過ぎず、不死鳥 [フェニックス] は輝く朝の太陽に溶け込むフラミンゴ、古い宗教的ビラに登場する海坊主は迷子のモンクアザラシ、一角獣はサイを間違って翻訳したもの、もしくは横から見たオリックス。ところがよりによって、なぜ竜はまぎらわしいほど恐竜に似ているのかという身近な疑問に対する納得の行く答えは、残念ながらどこにも見つからなかった。
(ユーディット・シャランスキー/細井直子訳『失われたいくつかの物の目録』(河出書房新社、二〇二〇年)、68~69; 「ゲーリケの一角獣」)
- 一年前からニュース。
(……)新聞の一面をみると、きのうの朝刊や夕刊でもみたがロシア軍がキエフ近郊や各地で市民を虐殺し戦争犯罪をおかしたようだという報。きのうの夕刊の情報とおなじだが、すくなくともキーウ近郊で四一〇人の遺体が確認されている。きのうの夕刊の記憶ではこれはウクライナのイリーナ・ベネディクトワという検事総長が発表した情報で、かのじょはすでに一四〇人の検死を終えたといい、フェイスブックに、これは地獄だ、犯罪者をさばくために記録をしなければならないと投稿したということだった。Human Rights Watchなどもはいって証言をあつめているようで、ロシア兵が「ナチス」をさがしていたという目撃証言もあるらしい。ウクライナ軍の捕虜になったある兵士も、ウクライナにはナチスがいるとおもっていたと言っているらしく、したがってクレムリンのプロパガンダが前線の末端の兵にまで浸透していたともおもわれると。きのうの朝刊の二面にあった記事には、ロシア軍の兵士が略奪した物品をベラルーシにて露店で売りさばいているというはなしもあった。
- 音楽。
(……)二時すぎからKeith Jarrett Trio『Tribute』をながしてまたまくらのうえにすわった。このアルバムは父親がもっていた数少ないジャズのCDのなかにはいっていたのでそれなりにきいた。Keith Jarrett Trioは偉大なるマンネリズムではあるのだけれど、ちゃんときけばやはりおもしろいものでもある。Jack DeJohnetteのドラムソロの連打がずいぶん粒のこまかくてしかも流動的なもので、拍のあたまにアクセントもないからとらえづらく、ここがあたまだろうというのはききながらある程度とらえているつもりでいるのだがソロがあけて三者にもどるとずれていてむずかしいなあということがよくあった。DeJohnetteはバッキングもなんかへんというか、あ、そういうかんじなの? とおもうときがけっこうあり、オーソドックスではないけれどよくある拡散系でもなく、はげしくバシバシやるタイプでもなくて、地味といえば地味なのかもしれないしすくなくともバッキングちゅうは繊細さのてざわりのほうが顕著でそんなに我がつよいようにはきこえないのだけれど、しかしなにか我が道を行っているようなへんなかんじがある。Bill Evans Trioのモントルーのやつなんかではいかにも若者というかんじでもっとたたきまくっていた記憶があるが。二曲目の”I Hear A Rhapsody”のドラムソロでは突発的にめちゃくちゃおおきなおとになって連打しまくっており、ここの爆発はむかしからいつもおどろく。”Lover Man”、”I Hear A Rhapsody”、”Little Girl Blue”、”Solar”と四曲目の終わりまできいてそれで四〇分くらいなのだが、このなかだったら”I Hear A Rhapsody”がいちばん好きかな。ピアノソロの終盤からベースソロにはいるところのながれなどよく、Jarrettは後半からだんだん恍惚にはいりはじめたようで切り替わりの直前ではかなりの速弾きでおとを詰めまくりながら駆けているのだが、なんだかんだいってもJarrettは速弾きしてもくどくならずに必然性をもってきれいにきこえるのがすごい。それはやっぱり、あのうなり声から察するに、ほんにんの身体と同期しているからということなのだろうか?
- Guardian staff and agencies, “Russia-Ukraine war at a glance: what we know on day 406 of the invasion”(2023/4/5, Wed.)(https://www.theguardian.com/world/2023/apr/05/russia-ukraine-war-at-a-glance-what-we-know-on-day-406-of-the-invasion(https://www.theguardian.com/world/2023/apr/05/russia-ukraine-war-at-a-glance-what-we-know-on-day-406-of-the-invasion))
Finland has become the 31st member of Nato after its foreign minister, Pekka Haavisto, signed an accession document and handed it to the US secretary of state, Antony Blinken, at a ceremony in Brussels. Sergei Shoigu, Russia’s defence minister, said the accession of Finland increased the risks of wider conflict. US president Joe Biden welcomed Finlands’ ascension and urged Turkey and Hungary to conclude their ratification processes for Sweden to join.
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Wall Street Journal reporter Evan Gershkovich, who was arrested and charged with espionage in Russia last week, met his lawyers for the first time on Tuesday, editor-in-chief Emma Tucker said in a message to staff. “Evan’s health is good, and he is grateful for the outpouring of support from around the world,” Tucker said in the letter, a copy of which was seen by Reuters.
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Lithuania’s parliament decided on Tuesday to ban Russian nationals from purchasing real estate in the Baltic country, citing risks to national security.
Polish farmers are threatening to derail a visit to Warsaw by Volodymyr Zelenskiy over claims that Ukrainian grain is flooding their market, in a move that would provide Russia with valuable evidence of a crack in western solidarity.
- Joan E Greve, “Trump is being arraigned – here’s what that means, and what happens next”(2023/4/4, Tue.)(https://www.theguardian.com/us-news/2023/apr/04/donald-trump-arraignment-explainer(https://www.theguardian.com/us-news/2023/apr/04/donald-trump-arraignment-explainer))
Donald Trump will appear in court on Tuesday afternoon to formally respond to charges over his involvement in a hush-money scheme, marking the first time in US history that a former president will face criminal charges.
The court appearance comes five days after a New York grand jury voted to indict Trump as part of a years-long investigation spearheaded by the Manhattan district attorney’s office.
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A grand jury voted to indict Trump last Thursday over allegations that he illegally reimbursed his former attorney, Michael Cohen, for a $130,000 payment to Stormy Daniels, an adult film star who claims to have had an extramarital affair with the former president beginning in 2006. Cohen paid Daniels in the final days before the 2016 presidential election, as she was preparing to go public with her story about the alleged affair. (Trump has said the affair never took place.)
Trump has acknowledged reimbursing Cohen, but he denies any illegal wrongdoing. The office of the Manhattan district attorney, Alvin Bragg, has been investigating the matter for months, and Bragg confirmed on Thursday that he was working with Trump’s team to coordinate his surrender.
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An arraignment is a court procedure wherein a judge reads formal charges against a defendant. This will be the first time Trump hears exactly what charges he is facing.
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Once Trump enters a plea, the judge will set a schedule for next steps in the pre-trial process. The trial itself is not expected to start for months. Once the arraignment comes to a close, Trump will almost certainly be released and allowed to return to Florida.
(……)
Even though the trial is probably still months away, Trump is already planning for a guilty verdict. In a message posted to the social media platform Truth Social on Friday, Trump attacked the judge assigned to his case, the New York State supreme court justice Juan Merchan, and pledged to appeal the ruling.
- めざめるとしばらく鼻から深呼吸。保育園の気配からして、まだ比較的はやいなとみていた。しかし起き上がって時間をみてみるとじっさいには九時。晴れてはいるが陽のいろはややひかえめで、レースのカーテンをみあげて視線をとおした感じ、空の青さのなかに薄雲がしのばされているようにみえたが、その後もおだやかな晴天がつづいて、ときおりかげるものの午後一時現在あかるくよくうごく大気のなかで洗濯物がゆれうごいている。カーテンにかかるひかりにきらきらとしたつやはなく、影もまろやかな色味をしている。立って口をゆすぎうがいをし、水を飲んでトイレへ。放尿して顔を洗い、出ると腕振り体操をやったり背伸びしたり。寝床にもどるとChromebookでしばらくウェブをみたのち、一年前の日記を読み、Guardianものぞいた。ウクライナの概報とDonald Trumpが罪状認否で法廷に召喚されたという報を読んだ。Donald Trumpにたいする告訴のうごきがすすめられておりほんにんもじぶんは逮捕されるだろうとかいうことを先んじて述べているというはなしはすこしまえからヘッドラインで瞥見していたが、それが実行にうつされたところ。うえの記事いがいを読んでいないが、トップページの見出しをみるに、三四の容疑について無罪を主張したようだ。中心的な件としては、Stormy Danielsというアダルト女優と不倫関係にあったのだけれど大統領選にさいして関係を解消し、それを公表しないよう弁護士をつうじて金をわたしたというはなしがとりあげられている。
- 離床は一〇時すぎ。座布団二枚をそとへ。ついでにきょうは掛け布団も窓外の柵にかけておき、敷き布団のほうはたたむのではなく立てておいた。おおざっぱに二つ折りして、折り目のところを壁際のダンボール箱と角のギターのすきまにさしこんでおくようなかたち。からだをちょっとうごかしてから食事へ。キャベツとチンゲン菜と豆腐とウインナーで温野菜をこしらえる。レンジをまわしているあいだはさきほど出した座布団をもうさっそく入れ、ねころがってティム・インゴルド/柴田崇・野中哲士・佐古仁志・原島大輔・青山慶・柳澤田実訳『生きていること 動く、知る、記述する』(左右社、二〇二一年)を読んだ。のちにも読んでいま第四章を読み終えたところ。160にきている。野菜があたたまると椅子に座ってものを食べる。納豆ご飯やバナナなども。平らげてちょっと休憩し、皿洗いと歯磨きを済ませるとWoolfの英文を読んだ。きょうはWavesははぶいてTo The Lighthouseのふたつだけ。あとでまた読むかもしれないが。正午に達する直前で椅子を下り、座布団二枚のうえに寝転がって書見した。第四章「板を歩く 技術に熟練する過程を考える」は副題のとおり技術や技能について鋸で板を切るという事例にそくして考察したもので、たとえば技術の実行には一般に準備・動き出し・遂行・完了という明確に見分けられる四つの局面があるけれど、明確に見分けられるとはいえそれらはかんぜんに区画された局面ではなく、独立でもないが不連続でもない過程的なものだ、とか。はなしはあいかわらずつねにおもしろい。道具の機能というものをかんがえるに、それらは文脈独立的にあらかじめそなわったり定義されたりするものではなく、それがつかわれる場合の周辺環境(その他のものの準備や配置など)や目的(文脈)との関係がおりなす総合的な体系性のなかであらわれるものであり、その機能がじゅうぶんに発現するには熟練した技能をもった行為実行者が必要なのだが、だからいわばものの機能というのは一種の物語としてとらえることができると。熟練者はあらかじめさだまっている道具の機能をただ盲目に反復するのではなく、かといってその都度あらたに生み出すのでもなく、その道具が使用されてきた過去の歴史(物語)を踏まえてそれに精通し、それをいわば想起・再生するようなかたちで語り直す。そもそもあるものをたとえば「鋸」というなまえで呼んだ時点で、そのものがどのようにつかわれてきたか、いまどのようにつかわれ(う)るかという物語を前提していることになる。鋸のような道具にかんしてはひとまず使用の概念をみとめてよいとしても、しかし鋸で板を切るためには鋸だけがあればよいというわけではとうぜんない。板を支えるための架台とか、その他もろもろの事物の配置や準備も必要だし、行為者の技術やもちろん手・足・目・耳などの身体も必要である。プラトンいらいの観念だとひとの手すなわち身体というのも、身体領域から超然としておりそれに意志としての命令を下す精神もしくは知性や理性によって使用されるというふうにとらえられていたわけだが、道具の使用とかそれをふくんだ技術的行為というのは関係的体系性のなかにあるのだから、ティム・インゴルドの言い方によれば、手はむしろ使用のなかに導き入れられるというふうにいうのがよいだろうと。ただ、たしかに道具とにんげんの身体とで差異もあって、端的に鋸じたいは過去の物語をそなえているとしてもそれだけで想起・再生をすることはできず、手が介入することによって(媒介することによって)はじめて物語が語り直される。そして手はその行為によってじしんの物語を語ることもできるわけで、言ってみれば鋸は伝記しかもたないが、手は伝記と自伝の双方をもっているということになる、など。おもしろいはなしはいくらでもあって、この章もだいたいぜんぶ書き抜くような感じなのだけれど、負担がおおきいのでこれいじょうの内容要約はしない。うえの要約もむろんこちらの理解したかぎりのはなしで順番など変わっているので、正確性は保証しない。使用概念にかんしては数日前の(……)さんのブログに一年前から引かれており、こちらも一年前の読みかえしでとうじじぶんの記事に引いたのを読んだはずだが、以下の引用が関連しているとおもうのでうつしておく。
國分 フーコーが晩年、古代ギリシアにあった「自己への配慮」というのを論じますよね。アガンベンはこの議論について、いい線まで行っているんだけど、フーコーは肝心なところで使用の関係を摑み損ねているために、自己の使用として語られるべきであった問題を、自分で自分をどう支配するかという問題にすり替えてしまっていると指摘するんですね。
具体的にはフーコーも論じたプラトンの『アルキビアデス』という対話篇を引いています。対話の中でソクラテスは「使う者と使われる物は違いますよね」と言う。たとえば靴職人がナイフを使って皮を切るとき、ナイフと靴職人は別である。だから、使用関係において、使う者と使われる物は区別されねばならない。でも面白いことに、そこで話をやめておけばいいのに、ソクラテスがさらに議論を進めて、「しかし、靴職人は自分の手や目も使うのではないかね」と言うんだよ(笑)。そうすると「あれ?」となっちゃう。
千葉 ソクラテス、半端ないですね(笑)。
國分 プラトンがそこで「ここには支配関係と違う、使用関係がある」と気づいていたら、違う哲学史が始まったかもしれない。あらかじめ存在している主体が何かを使うのではなくて、使用の中で主体化が行われるという哲学が生まれたかもしれない。でも、プラトンはなんとしてでも使う者と使われる物は違うという図式を維持しようとするから、人間においては魂が身体を使っているのだ、魂が使う者であり、身体が使われる物なのだというわれわれのよく知る図式がそこに出てきてしまう。つまり、魂が身体を支配する関係で人間を考えてしまうわけです。
僕は哲学史において、この時こそ中動態の論理が抑圧された瞬間ではないかと思うんです。『中動態の世界』の中で、「中動態を抑圧することで哲学ができあがった」というデリダの言葉を紹介しているけれど、使用を支配に還元したこの瞬間こそ、プラトニズムが誕生した瞬間ではないかとすら思う。
(國分功一郎+千葉雅也『言語が消滅する前に』)
- 一二時半過ぎにたちあがってここまで書くと一時四二分。きょうは図書館に行ってもいいなというきもちになっている。天気も良いし。良いわりに暑すぎないような気もするし。しかしほんとうに行くかどうかわからないが。
- いま五時四〇分。やっとこさ三月二五日土曜日の記事を書き終え、投稿することができた。日々の書きものの遅滞がはなはだしい。どうしてもなかなかからだがついていかないのだが、息をふーっと吐いて酸素や血を全身にめぐらせつつちょっとずつやるしかない。うえまで記したあとは二五日分をすこしすすめたり、寝転がってだらだらしたり、二食目を取ったり。干しておいた布団は二時くらいになかに入れたが、そのさい柵の内側にぐしゃっと落ちていて、じっさいきょうは午後から風がやたら盛って精霊のうなりめいたひびきも付近の路上や家々のあいだに鳴りを立てていた日で、柵のそとがわに垂れたぶぶんがちょっとあおられるのも見かけていたのだが、それが柵を越えて反対側まで落ちたらしい。そとに落ちるのでなくてよかった。布団バサミを買ったほうが良いかもしれん。洗濯物のほうは三時台だか、二食目を食うためレンジで温野菜をまわしているあいだに取りこみ、即座にたたんで始末した。いまもう六時がちかいというのにまだ暮れきっておらず、あかりをつけていないがそれで室内が暗すぎるわけでなく、レースのカーテンのむこうの空も青と白がそれぞれ最大限に淡く混じり合った夕方の乾燥したようないろをのこしている。
- Aakash Hassan in Srinagar and Hannah Ellis-Petersen in Delhi, “‘Bulldozer politics’: Modi’s demolition drive fuels Muslims’ fears in Kashmir”(2023/3/19, Sun.)(https://www.theguardian.com/world/2023/mar/19/bulldozer-politics-modi-demolition-drive-fuels-muslims-fears-in-kashmir(https://www.theguardian.com/world/2023/mar/19/bulldozer-politics-modi-demolition-drive-fuels-muslims-fears-in-kashmir))
Suhail Ahmad Shah stood despairingly before the wreckage that for two decades had been his livelihood. Just hours before, he had been busy at the workshop when he heard an ominous crunch above him and the tin roof began to cave in. He barely made his escape before a bulldozer flattened the entire place.
“No notice was served to us,” said Shah, 38. “The officials came suddenly and demolished our workshop. No one is listening to us. We’ve been paying rent. Isn’t this an atrocity? They have snatched our livelihood.”
His workshop selling secondhand car parts in Srinagar, the summer capital of the beleaguered Indian state of Kashmir, was just one of dozens of structures across the region caught up in a widespread demolition drive in February. Many of these took place with little notice, even for those who had occupied the land for decades. The purpose, according to the government, was to “retrieve” state land that had been illegally encroached on. More than 50,000 acres of land were seized before the drive was paused.
But in Kashmir, the drive has been condemned as having a more sinister purpose. Many have decried it as part of a wider agenda by the Hindu nationalist government of the Bharatiya Janata Party (BJP), led by prime minister Narendra Modi, to displace and dispossess Kashmiris from their own land and shift the demographics of India’s only Muslim-majority state.
Since the Modi government came to power in 2014, bulldozers have been a popular tool for BJP leaders to target the Muslim minority in their pursuit of a religious nationalist agenda to establish India as a Hindu, rather than secular, country. In states such as Uttar Pradesh, Delhi, Gujarat and Madhya Pradesh, bulldozers have been used to crush the homes of swathes of Muslim activists accused of involvement in protests and of communities alleged to be illegal immigrants.
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Since independence in 1947, the Kashmir region has been the touchstone issue between India and Pakistan. They have gone to war multiple times for control over the disputed territory, which is split between the two countries. On the Indian side was the state of Jammu and Kashmir where, from the early 1990s, a violent separatist insurgency with an allegiance to, and funded by, Pakistan emerged.
Successive governments struggled to bring the violence under control. But in August 2019 the Modi government, fulfilling a long-held promise to its rightwing base, took unilateral action against the state, stripping it of its long-held autonomy and severing it into two territories under central government control. Thousands of troops were moved into the state, the state government was dissolved, local politicians were imprisoned and the world’s longest internet shutdown, lasting 18 months, was imposed.
Since then the BJP has thrown open the doors of the state, allowing outsiders to buy property and register to vote in Kashmir for the first time. More than 2 million new voters have been registered, a source of great concern to the many who believe that the government is trying to change the demographics of the state away from its current Muslim majority.
A redrawing of the electoral map has led to accusations of gerrymandering after it became clear the reshaped constituencies would split the Muslim vote in Kashmir, to the likely electoral advantage of the BJP.
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But those in the state tell a very different story – one of systematic oppression under increasingly authoritarian laws and where democratic freedoms, including free speech, political representation and the right to protest, have been crushed. Kashmir is now one of the most heavily militarised zones in the world, with more than half a million troops to watch over just 7 million citizens, with army checkpoints every few miles on the roads.
Those living in the state say that censorship, both of ordinary citizens and the media, is standard practice by the government, police and military, and anyone expressing criticism through activism or on social media is immediately taken in by police.
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Journalists have become a particular target. New laws were passed to strictly control their reporting, and the few journalists who still produced critical coverage of the region have been subjected to harassment and interrogation and had their phones and laptops seized.
Journalists have been publicly thrashed by police while some have been put on no-fly lists, barring them from leaving the country. In the local newspapers, editors and owners have deleted years of coverage that was critical of the government due to the increasing pressure, and once-independent newspapers have been reduced to pamphlets for government press releases. At least three Kashmiri journalists, Asif Sultan, Fahad Shah and Sajad Gul, have been jailed under terrorism laws.
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Democracy remains elusive. The state government was never restored after 2019 and regional elections have not been held for more than five years, leaving Kashmiris with no political representation or outlet to express their discontent.
Political leaders who had spent their careers promoting pro-India policies in Kashmir but were among those imprisoned after 2019 accused the BJP government of authoritarianism. Omar Abdullah, a former chief minister of the region and India’s former junior foreign minister, said government-appointed administrators in Kashmir had “absolute power with no accountability”.
Former chief minister Mufti said she and those in her party were “harassed endlessly”. “I am placed under house arrest quite often and not allowed to carry out political activities or reach out to people in distress,” she said. “No one here, be it a political leader, activist or even journalist, enjoys the freedom of speech to articulate the ground realities.”
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Militants have shifted strategy, carrying out more targeted killings of non-locals and minority Kashmiri Hindus. This has spread fear among the Kashmiri Hindus, commonly referred to as Pandits, 65,000 of whom fled the valley in the 1990s when they were targeted during a violent pro-Pakistan insurgency. In recent months another exodus of Pandits has begun.
“We do not feel safe in Kashmir,” said Rinku Bhat, who is among those who fled his home after the killings. “Our people are being killed in broad daylight by the gunmen, inside their offices, homes. We are demanding that we should be posted to safer locations but the government has not helped us so far.”
- 前日の記事にも書いたとおり、この日の夜歩きと前日の夜歩きのどちらがどちらだったかいまいちさだかでないのだが、この水曜日もまたあるきに出て、ぐるっとひとまわりという感じで夜を渡った。道中の印象事はとくにない。
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- 日記読み: 2022/4/5, Tue.
- 「ことば」: 1 - 2