13543字。ばめんのイメージはさいごまでおおかたかたまっているし、文章もあたまのなかでこういうかんじかなと事前にたしょう書いてあるところもあるのだけれど、じっさいに書いてみるとやはり象徴連関にからめとられて収束してくるというか、ああやっぱりこういうことばをつかっちゃうのね、ここでこういうイメージを出しちゃうのね、この語はあそことつながっちゃうよね、みたいなことがままあって、なるほど小説を書くというのはこういうことなんだな、というかんじ。「塔のある街」は象徴的っぽい形象やことばがやたら盛りだくさんになっているけれど、それらのつながりをじぶんで厳密にかんがえてはいないので、どうなっているのかわからない。ムージルにはならないのかもしれない、ふつうに読み切れる、解釈しきれる小説になるのかもしれない。あるいは、無限の形象である塔はあきらかにいわゆる否定神学的なオブジェになっているので、解釈しきれないというか無数の解釈が乱立するというかたちで安定するという、いまいちおもしろみのない物語になってしまうかもしれない。しかしじぶんはおもいついたことをぜんぶぶちこんでやるだけだ。闇鍋みたいなもんで、うまそうだとおもったものをとりあえずぜんぶぶちこみ、味がどうなるかは天にまかせるみたいな。