2014/1/12, Sun.

 クソ寝坊して十一時に起床した。リビングに上がるとカレーの匂いが鼻と胃を刺激した。二杯食べると、母がごみの仕分けを手伝ってくれというので、暖かな陽光のもとで燃えないごみたちを袋につめた。家の斜め前に祖父母の時代から借りている土地があり、そこに放置してあるがらくたの類も多少袋に入れたのだけど、どうにも片付けようがなく、業者を頼まないとならないだろうとなった。母が平生よりも気落ちしているようで、自分しかやる人間がいないのだから、としきりに嘆いていた。
 家に入ったあとスガシカオ『Sugarless』を流しながら部屋に掃除機をかけた。かけ終えて換気をしているあいだリビングで茶を飲みながらガルシア=マルケス『落葉 他十二篇』を読んだ。部屋に戻って、Weather Report 『Heavy Weather』 を流しながら前後に腕を振る運動をおこなった。
 二時半にもなると陽は傾きはじめ、風も吹いていくらか肌寒かった。母の車に乗って病院へ向かった。祖母は変わらずうつろな瞳ではあるが、昨日より顔色がよかった。点滴もつけられており、このぶんだとまたしばらくはもつのかもしれないと思われた。明日が従妹の成人式で晴れ着を見せにくるというし、明後日はこちらの誕生日なので少なくともそれまではもってほしいという願望が無根拠な確信に変わり、もつにちがいないという気がした。途中で祖母の姉の娘(一昨日と昨日に来たIさんの妹)であるSさんが見舞いにやってきた。控えめな人らしかった。時折り軽くどもる癖があった。ベッド脇に置いた丸椅子より前に出ようとせずやや遠くから祖母の顔を眺めていたのは遠慮していたのかあるいは病人に近寄りたくなかったのかわからないが、それでも最後には青あざだらけの祖母の手を握った。四時を過ぎて辞去した。駐車場で隣の車から出てきた人物は毎年九月に地元の祭りの一環としておこなわれる子ども相撲の行司をつとめていた人だが、記憶のなかの姿よりもずいぶん年老いていた。黒々とした髪が灰色に変わっていた。
 帰宅して茶を飲み素甘を食べながら『落葉』を読みすすめ、Weather Report『8:30』の流れるなかで読了した。腕振り体操をおこなってから風呂に入った。夕食は昼に続いてカレーと、キャベツの千切りと、白菜の炒めものと、父の姉妹であるN.Yさんが送ってくれたえびの天ぷらだった。うだうだしたあとに『フランシス・ポンジュ詩集』を読みはじめ、Christian McBride『Conversations with Christian』を流した。