朝の祈り
太陽だけでなく、地上が
それ自体で輝き、目にも鮮やかな山々では
白い炎が躍り、
早朝の平らな道は
かすかに光を放っています。この景色は
わたしたちを反応させるためだけに
あるのでしょうか、あるいは
地上の有り様に心を打たれて、
あなたの感情も揺らぐのでしょうか――
あなたをどんな存在だと考えていたか、
今のわたしは恥じています。
遠い場所から、わたしたちのことを
実験対象として
見ているとばかり思っていました――
使い捨ての動物でしかないというのは、それは
苦く惨めなもの。親愛なる友、
心震わすパートナーよ、何を感じるのが
あなたにとって一番の驚きですか、
地上の輝き、それともあなた自身の喜び?
わたしが驚くのはいつも
こうして湧き上がる喜びです。
MATINS
Not the sun merely but the earth
itself shines, white fire
leaping from the showy mountains
and the flat road
shimmering in early morning: is this
for us only, to induce
response, or are you
stirred also, helpless
to control yourself
in earth’s presence――I am ashamed
at what I thought you were,
distant from us, regarding us
as an experiment: it is
a bitter thing to be
the disposable animal,
a bitter thing. Dear friend,
dear trembling partner, what
surprises you most in what you feel,
earth’s radiance or your own delight?
For me, always
the delight is the surprise.
- 一〇時半ごろに覚醒し、一一時ぴったりに離床。窓に雲がなく水色がひろがったなかに太陽がたゆたっている快晴。水場に行ってきてからひさしぶりに枕のうえに座った。といってもやるのは無動の瞑想ではなくて深呼吸。吐けるところまで吐くというのをくりかえす。そうしているとだんだんと血がめぐって全身の筋肉がほぐれ、からだがひじょうにかるくなる。一一時半までやって上階へ。
- ジャージにきがえて洗面所でうがいなど。食事はおでんだったが、うどんもゆでたというのでおでんの具と汁を小鍋にとりわけてそこで煮込んだ。ほか、唐揚げののこり。新聞、大阪でオミクロン株の市中感染が発覚したと。寝屋川市内の小学校教員とその妻、未就学の娘が感染。ほかにふたり子どもがいて、そちらも陽性が出ているらしいが、オミクロンかどうかはまだ不明。オミクロン株についてはきのうの新聞に、アメリカでさいきん一週間に発生した新規感染者のうち、七割いじょうがオミクロン株におきかわっているという情報があった。そのまえの一週間はまだデルタ株がたいはんで、オミクロンは一〇パーセント強だったというから爆発的な拡大ぶり。
- ほか、大阪の心療内科ビルの放火事件。容疑者は廊下のとちゅうの扉のまえにたおれており、二六人(そのうち現時点までに二五人が死亡で、のこったひとりの女性も重篤)の被害者はその奥の部屋にいたといい、容疑者は患者たちを奥に閉じこめて集団殺害しようとしたとみられると。事件の計画性があきらかになってきているらしく、ガソリンも先月だかに購入して準備していたようだし、当日には非常扉が粘着テープで封鎖されているのを職員が発見して剝がしていたとか。
- 平成上皇が八八歳になったとの報も。ライフワークであるハゼの研究にいそしんでいるらしく、四〇年くらいまえの論文にさかのぼりつつあらたな論文を書いたとか。オンラインで研究会にも参加して、孫世代の研究者たちと気さくに意見交換もしている。日課として毎朝寺田寅彦の『柿の種』を音読しているともあった。それでこれはどんなものだっけかと青空文庫をたしかめたところ、みじかい断章が一七六だかはいったエッセイで、科学的なそれというよりはかんぜんに文学的な雰囲気のもので、たしかによさそう。
- 皿と風呂を洗って白湯とともに帰室。きょうもまた三時には出る。しかしきょうは一コマだけで余裕なので、帰宅後になんとか一八日の記事をしあげたい。だができるかどうか。
- いまもう二四日に日付がかわったあとだが、一八日の記事はかたづけることができた。よかったよかった。
- 出勤前にはまず「読みかえし」を音読し、ほかは都立高校入試の社会の過去問を見ておくなどでおおかた尽きた。食事には食パンを焼いて摂取。家を出たのは三時一〇分すぎである。徒歩。晴れているしよかろうとマフラーをつけずに出たのだけれど、そうするとやはり首もとが寒かったので、街道に出る交差部のてまえで立ち止まり、バッグから灰色のマフラーをとりだして巻き、コートの襟の内側におさめた。そうしておもてどおりを行き、裏に折れるあたりで対岸の奥にある中学校から吹奏楽の練習の音がもれてきた。合奏をしており、トランペットが低めの音域で旋律を吹くそのしたをほかの管楽器が変成しながらささえている。学校からもれてくる吹奏楽の音というのは、巧拙や音質にかかわらずそれだけでなにかしらこころ惹かれるものがある。裏通りへと折れるあいだも音はずっと背後からついてきたし、路地にはいってからもすこしのあいだ、通り沿いの家かそのさきの丘に反射してひびきがうすくのこっていた。とちゅうにひらけるひろい空き地のまえまで来ると、晴れた空をいただく宙に一匹の鳥の声があらわれて、ひろびろとした大気のなかでひとつ浮き立ちながらくりかえし勤勉に音をつたえる。弦を一瞬だけふっとこするような、ヒン、ヒン、という鳴き方だった。
- 職場着。勤務。(……)
- (……)駅へ。ホームに行き、ベンチ。しかし寒かったので、待合室にはいった。それで(……)さんへ、(……)にかんしてのメールをつくる。まもなく電車がやってきたので乗り、せっかくあたたかいところにすわっているのでメールは帰宅してからとして瞑目のうちに休んだ。最寄りまで来ると降りて帰路へ。やはり寒いので、ゆっくりあるいて周囲を見聞きする向きにもならず、気づけば脚がいそいでいる。
- 自室に帰って休みつつメールを作成し、報告。その後いくらかやりとり。きょうは比較的はやく夕食に行った。父親も数日ぶりに山梨から帰ってきており、風呂に入っていた。おでんやチキンで食事。終えると茶をつくって帰り、一八日の記事を進行。一一時くらいに終わったはず。つかれたのでしばらく休んでから入浴に行き、もどってくると投稿。あるいは風呂のまえにもう投稿したのだったか。入浴後はからだがねむいようになって、ベッドの端にもたれているとまどろんだので、そのまま二時一七分に就寝した。