2022/10/31, Mon.

 「あなたの」と署名しましょうか? それ以上の虚偽はありますまい。いや、「ぼくの」――そして永遠にぼくに繋がれている、そういうぼくであり、それに堪えていかねばならないのです。
 (マックス・ブロート編集/城山良彦訳『決定版カフカ全集 10 フェリーツェへの手紙(Ⅰ)』(新潮社、一九九二年)、76; 一九一二年一一月一一日)




 七時過ぎに覚醒。布団のしたでしばらく鼻から呼吸をつづける。あおむけで手はみぞおちのあたりに合わせて乗せてみたり、からだの横に置いてみたり、あるいは脚をたたんで合蹠してみたり。枕を脇にどかして後頭部を布団に直接置き、首を左右にまわしてすじを伸ばしたり。七時四〇分ごろに身を起こしてカーテンをあける。真っ青な快晴の日和で雲が見られない。まだ起床せず、Chromebookをもってウェブを見たり、過去の日記を読みかえしたり。引いておくほどのことはない。いつもどおりGuardianにもアクセスして気になる記事をタブにひらいておき、ウクライナの概報など確認した。寝床をはなれたのは九時過ぎ。椅子にすわって水を飲み、歯を磨く。そのあとトイレに行って排尿するとともに、水をなんども顔にかけて顔面をよく洗う。出るとうがい。肩をまわしたり首をまわしたり、ちょっとからだをほぐす。きのう長時間の通話で座ったままモニターをまえにしていたためか、頭蓋がこごっていたり、首から肩にかけてがしゃきっとせずに重たるかったり、よどんでいたりという感じがあった。九時五五分から瞑想。二〇分ほど。まあわるくはない。
 食事にはキャベツと豆腐とハムのサラダをこしらえる。そのまえに、というか瞑想をするまえに、洗濯をはじめていたのだ。サラダをつくるころには洗濯機はもうさいごの脱水にかかっており、剝がしたキャベツをまな板のうえでおさえる左手にそのこまかい振動がつたわって、そこから胸のほうにまで、ばあいによってはあたまのほうにまで波及が感じられないでもなかったが、しかし細切りにしていく右手はあやまたず、指を傷つけることはない。左の冷蔵庫のうえに置いてある大皿に切ったキャベツをうつすため、包丁を置いて両手で野菜をすくうと、にんげんの手をはなれたまな板や包丁、それにその奥に置いてあったキャベツの母体が土台の振動を分け合って微妙に位置をずらしていくが、面から落ちるほどではない。振動環境のなかでサラダを皿に用意すると、そのほか即席の味噌汁ときのうスーパーで買ったオールドファッションドーナツ。食事中はさいきん追えていなかった(……)さんのブログを読む。のちほど寝床にころがったときにも。一〇月二四日分まで。大根おろしもすって腹に入れておき(きのう大根を買うのをわすれてしまった)、食器類を洗った。
 食後はいつもどおり白湯とともに音読だが、きのうなにかしら英語のテクストをひたすらくりかえし読むことでちからをつけたいと書いたあの件、とりあえずTo The Lighthouseの一節をその素材にすることにした。ほんとうはいい感じの文章がまとまっている教則本というか参考書的なものがよいのだろうが、情報を調べるのも本屋に行くのもめんどうくさいし、ともかくじぶんの好きな文でやっちまえばよいだろうと。To The Lighthouseのなかでくりかえし読みたい箇所といったらまず念頭にあがったのは第二部全篇なのだけれど、さいしょからあれくらいながい量をやるのはたいへんだ。それで第三部のとちゅうにある、リリー・ブリスコウがラムジー夫人のことをおもいだして、かのじょは過ぎ行く瞬間をまるで芸術作品のように不動のものにしたのだ、人生がここに立ち止まりますように、とでもいうかのように、とかんがえている箇所、あそこが全篇でいちばん好きなので、それに決めた。もうひとつ、第一部でも夫人とラムジーがことばのないままにたがいの感情の機微を感じ取っているみたいなきわめて繊細な雰囲気の場面があって、そこも好きだったのだけれど、そちらもおいおいやる気になれば。それで岩波文庫の訳と、こちらがもっているWordworth Classicsのペーパーバックを読み合わせて意味を確認したり、単語をしらべたり。ペーパーバックをつかってもよいのだけれど、パソコンにも文章を入れておくかということで、「ことば」記事にネット上からコピペした該当箇所をうつしておいた。しかしProject Gutenberg Australiaのサイトに載っているTo The Lighthouseのテクストは、手持ちの本とはちがっている箇所がたまにある。ちがう版を参照したのか、それか推敲前の文章を載せているような印象なのだが。のちほどいちいち照らし合わせて修正することになった。そのあと「ことば」記事と「読みかえし」ノートを音読。To The Lighthouseのこれはひとまずまいにち一回読めればよいだろう。余裕があったらさらに何回も。ついでに岩田宏の「ショパン」のさいごと、リルケの『ドゥイノの悲歌』中第九歌の一部も、まいにち一回ずつ読む習慣にすることにした。「読みかえし」ノートのほうはきょう出てきたのはムージル著作集の第八巻とかで、『生前の遺稿』や『熱狂家たち』がはいっている巻だが、そこからもいくつか「ことば」ノートのほうに入れておいた。『熱狂家たち』はまた読みかえしたい。
 わすれていたが皿を洗ったあとに洗濯物も干している。天気は午後三時を過ぎた現在までひかりのあかるさが一瞬もとぎれず持続している好天で、ものを干すために窓を開けたときはしかし、大気の質感はやはり秋らしく締まりがあって、ぬくもりにぼやけない。タオルや肌着などをピンチで棒にとりつけてならべておいた。音読を切りにしたのが一時半くらいか? これだけの良い天気なのでやはりあるきに行きたい気はあるが、ひとまず寝転がってだらだらする。(……)さんのブログを読んだり、Guardianの記事を読んだり、パウル・ツェラン全詩集の一巻をほんのすこしだけ読んだり。あるきに行くとしたら本屋にでも行こうかなというところだが、二九日いこうを書けていないし、きょうは籠もることになるかな。夜でもいいし、ちょっとだけでも散歩に出ればよいのだが。布団のうえではストレッチもした。だらだらしつつ脚を揉んだり背中をやわらげたりするとからだがかるくなり、おのずからストレッチもやっておこうという意欲が湧く。ぜんぜんかるくてよいのだ。ちょっとやるだけでも。習慣化されれば。合蹠して上体をまえに曲げて顔をうつむかせたり、あるいは脚は正座みたいにしつつ前方に両腕を伸ばして上体をたたみ、だらーんとするみたいなやつがあるけれど、これらのポーズで目をつぶってじっとしているときなど、意識が休まるかんじがしてちょっとねむくなり、きもちがよい。その後布団を発つときょうのことをここまで記述。三時二一分。ゆびはかるい。また鍋スープをつくりたいが、ひとまず二九日の日記をいくらか書くか?


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 この日はそのあとこともなし。二九日はいくらか書いた。そのほかはギターを弾いたくらいか。あまりふるわなかった印象だが、四〇分くらいは弾いて録り、ブルースとてきとうな感じを行き来した。夕食後にからだが重くなってなにをやるのも億劫になり、寝床で休んでいるうちにねむってしまった。一〇時をむかえていなかったとおもう。


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  • 「ことば」: 31, 9, 24, 11 - 15
  • 「読みかえし2」: 389 - 413
  • 日記読み: 2021/10/31, Sun. / 2014/3/25, Tue.


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Caroline Davies, Joanna Walters, Nadeem Badshah and staff, “Russia-Ukraine war at a glance: what we know on day 249 of the invasion”(2022/10/30, Sun.)(https://www.theguardian.com/world/2022/oct/30/russia-ukraine-war-at-a-glance-what-we-know-on-day-249-of-the-invasion(https://www.theguardian.com/world/2022/oct/30/russia-ukraine-war-at-a-glance-what-we-know-on-day-249-of-the-invasion))

Russia’s defence ministry claimed it had recovered and analysed the wreckage of drones used to attack ships from Russia’s Black Sea fleet in Crimea on Saturday. It claims that the drones were equipped with Canadian-made navigation.

The ministry has said Ukraine attacked the Black Sea fleet near Sevastopol with 16 drones early on Saturday, and that British navy “specialists” had helped coordinate what it called a terrorist attack, a claim Britain has denied.

Ukrainian officials have suggested that Russia itself may have been responsible for the explosions, which it has used as a pretext to pull out of the grain deal.

Poland said that together with its European Union partners it is ready to provide Ukraine with further help in the transportation of essential goods after Russia pulled out of the grain deal.


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Chris Boardman, “Calling all men: this is what we can do to help women feel safe exercising in the dark”(2022/10/30, Sun.)(https://www.theguardian.com/commentisfree/2022/oct/30/women-safe-exercise-in-the-dark(https://www.theguardian.com/commentisfree/2022/oct/30/women-safe-exercise-in-the-dark))

One in every five women is concerned about sexual harassment when exercising – and three in 10 have experienced it first-hand, while doing physical activity, mostly in streets and parks. And we know that people will not do something – whether that’s walking or cycling to school, or jogging before work – if they do not feel safe doing so.

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So this is my call to arms: Sport England’s This Girl Can campaign has set out some steps for men, to guide them on how to make women feel safer when they are getting active outdoors this autumn and winter. First, keep your distance: the closer you are, the more threatening you seem. If you’re walking or running behind a woman, pause to give her some space, or cross the road so you aren’t behind her any more. Understand that women’s wariness and suspicion is not personal, so don’t be offended. Women have no way of knowing you are not a threat.

Never make comments, even if you think it’s a compliment. It’s intimidating to a woman on her own. Stay quiet. If you see friends or family members making disrespectful comments to a woman, challenge them and explain why it’s not OK. We need to break the cycle of misogyny that contributes to women feeling unsafe. Show younger men what it looks like to listen to women. Talk to them about what harassment is. Help them understand why a comment they think may be harmless can terrorise women. If you notice a woman being harassed, show your support – it can be as simple as standing between a woman and the harasser.


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Jessica J Lee, “Giant steps: why walking in nature is good for mind, body and soul”(2022/10/30, Sun.)(https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2022/oct/30/walk-nature-good-for-mind-body-soul(https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2022/oct/30/walk-nature-good-for-mind-body-soul))

Gaynor Parkin and Amanda Wallis, “Learning new skills can be daunting. Here are four ways to embrace being a beginner”(2022/10/30, Sun.)(https://www.theguardian.com/commentisfree/2022/oct/30/learning-new-skills-can-be-daunting-here-are-four-ways-to-embrace-being-a-beginner(https://www.theguardian.com/commentisfree/2022/oct/30/learning-new-skills-can-be-daunting-here-are-four-ways-to-embrace-being-a-beginner))