2022/11/21, Mon.

 今晩八時にまだ床についたまま、疲れてもいず、元気でもなく、しかし四方八方で始まった大晦日の祝祭に意気銷沈させられて起き出すことができなかったとき、ぼくがそんな悲しい気分で、犬のようにうち棄てられて横たわり、そして友人たちと晩を過すこともできるというぼくに与えられた二つの可能性(他ならぬ真夜中の祝砲、実際にはひとりも見えない通りや橋の上の叫び声、鐘の響きと時を告げる時計の音)こそぼくをなお一層慰めのない、引込み思案の気持に陥らせ、ぼくの視線の本来の任務は天井をさすらうことにあるように思われたとき、――ぼくがあなたと一緒にいないよう不幸が望んでいることを、ぼくはどんなに喜ばなければならないか、そうぼくは考えました。あなたを眺めるという幸福、最初の会話の幸福、ぼくの顔をあなたの膝に埋めるという幸福――これらすべてをぼくはあまりにも高価に購なわなければならないでしょう。つまり、あなたがぼくから走り去る、きっと泣きながら走り去るという代価を支払わなければならないでしょう。なぜならあなたは優しさ自身ですから。しかし涙がぼくにとってなんの助けになるでしょう。そしてぼくはあなたを追っかけていいのでしょうか? だれにも増してあなたに心服しているぼく、他ならぬそのぼくがそうしていいでしょうか? (表通りから遠く離れたこのあたりでも、路上でなんと人々が喚くことでしょう!)しかしこれらすべてにぼく自身答える必要はなく、最愛のひと、あなた自身答えて下さい、それもいささかの疑念も残さぬ、細かな熟慮の末に。ぼくは最も些細な、取るに足りない問いから始め、時とともにその問いを高めていきましょう。
 (マックス・ブロート編集/城山良彦訳『決定版カフカ全集 10 フェリーツェへの手紙(Ⅰ)』(新潮社、一九九二年)、200; 一九一二年一二月三一日から一九一三年一月一日)




 いますでに二二日の午前一時五分。労働から帰宅し、遅い食事を取ったところ。きょうの行き帰りもなかなかたいへんだった。行きはまあそこそこだったとはいえ、車両のいちばん隅で立ち尽くして片手で手すりをつかみながら耳はceroでふさぎ、そうして身体観察をしているあいだ、いっぽうではからだがおちついてはくるのだけれど、もういっぽうではそれと拮抗するようなかたちで緊張もしくはストレスによってだんだん胸がちぢむようになってきたり、右背面下部に、なんといえばよいのか圧迫感というか、ひっかかりというか、疲労感というか、そういう感覚が生まれてきたりもして、とりわけ腰あたりのそれには、ああいまおれストレス感じてるわ、心身への圧力によって消耗してるわというのが如実にかんじとれた。そう、往路の時点ですでにけっこう疲労感、なんだったら消耗感があったのだ。立っているあいだもなるべく身体観察的にいたわりの目をおのれの肉体に向けて体内をゆるめようとしていたし、(……)に至ってすわってからも瞑目のうちに静止して回復をはかり、(……)に着いてからもこの電車が折り返して発車するまでいくらかあるから、そのあいだ瞑想じみた静止をつづけていたが、それでも消耗や、またからだのうちが微振動するようなそこはかとないいやな感じが取れず、職場に行ってからもこれはどうかなとようすをうかがいつつ準備をしていたが、結果、いやな感じだし無理せずブーストしようと一錠追加した。だからきょうは計三錠ということになる。やばくない? だんだん増えてきてない? しかしその甲斐あって、授業のさいちゅうはだいぶおちついている感じではあった。とはいえ授業が終わったあたりにはもちろんふつうに疲労しているから、それでまたからだが、とくに首のまわりや背がかたく、それでもいろいろやることはあるし、よしとけばいいのに(……)を懇切丁寧に添削してしまったりして((……))、そんなことをしているものだから職場を出たのは一〇時四五分くらいだった。帰りの電車はガラガラなので気楽であり、それでもいちばん端の車両のいちばん端にすわるわけだが、じっと目を閉じてからだを見つつひたすら回復をこころみる。鎖骨のあたりとか首とか、耳の付け根とか、たしょうゆるみはする。しかし(……)に着いて(……)線に乗り換えてからのさいごの一駅が辛かった。もう発車寸前だったので端まで行っている猶予がなくて、階段を下りてすぐそのへんに乗らざるをえなかったのだが、ひとはまわりにそこそこ多いからいやな感じで、発車すればせり上がってくるものがあり、わりと吐きそうで、腹のなかにはなにもはいっていないのに口内の縁のほうに液体の感覚がうっすら生じてきて、あとすこしでだいぶやばいところまで行っていただろうが、三錠飲んでいたためかなんとかことなきを得た。むしろ三錠飲んでもこれか、ということなのだが。しかしそれから数分後、アパートまでの帰路を疲れたからだであるいているときには、さきほどの緊張のなごり(胸のあたりに小ブロックをひとつ打ち込まれたようなひっかかりの感じなど)が身内からまったく消えたわけではないものの、いちおう平然とした顔で夜道を黙々行っているわけだから、なんかこれが平常、日常になってきたな、とおもった。それでも消耗はする。いま週に一回だから耐えていられるけれど、これが連日だったらふつうに無理だし、よく週三日もはたらけていたなとおもうわ。世の一般のようにまいにち長時間はたらくのはじぶんには無理だということを再実感したし、そうできるような心身があったとしてももちろんじぶんはそうしたいなどとすこしもおもっていない。まったく、なんとかあたまがおかしくならないようにヤクのちからを借りてどうにか生きているありさまだ。このままじゃ金もかせげない。金がかせげなきゃひとり暮らしも維持できない。ひとり暮らしが維持できなきゃ実家にもどらざるをえず、それは忍びない。だいいちじぶんはもっとこの世界を見聞きして書きたいが、実家に引っ込んでちゃあそれもやりづらいし、からだがついていかなければなおさらだ。どうして生きていくもんかなあとおもう。ふつうにはたらいてじゅうぶんなほどの金をもらうことはできず、週三が限度だ。いまはかろうじて週一だし、先月は無収入。かといって読み書きで食っていけるほどの能もない。日記を書くことはともかく、じぶんは作品をつくる能力はどうもとぼしいし、つくれたところでどうせいくらにもならないような種類のものだ。もっといろいろなものごとを書きたいが、それをするにも金と健康がいる。


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 通話のことを書いておこう。(……)
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 本篇についてもStephenがとりつかれている母親の影とか、またStephenとBuck Mulliganの関係とかについてけっこういろいろはなしはしたのだけれど、それらはめんどうくさいので省略する。そしてあと書いておくべきは勤務時のことだ。といってそんなにたくさんはない印象だが、(……)
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  • 日記読み: 2021/11/21, Sun. / 2014/4/11, Fri.


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Samantha Lock, Tom Ambrose and Léonie Chao-Fong, “Russia-Ukraine war at a glance: what we know on day 271 of the invasion”(2022/11/21, Mon.)(https://www.theguardian.com/world/2022/nov/21/russia-ukraine-war-at-a-glance-what-we-know-on-day-271of-the-invasion(https://www.theguardian.com/world/2022/nov/21/russia-ukraine-war-at-a-glance-what-we-know-on-day-271of-the-invasion))

Russian forces launched almost 400 strikes on Sunday in Ukraine’s east as part of a campaign of artillery fire, President Volodymyr Zelenskiy said in a Sunday night address. “The fiercest battles, as before, are in the Donetsk region. Although there were fewer attacks today due to worsening weather, the amount of Russian shelling unfortunately remains extremely high,” Zelenskiy said. “In the Luhansk region, we are slowly moving forward while fighting. As of now, there have been almost 400 artillery attacks in the east since the start of the day.” Russia has moved troops to reinforce positions in the eastern Donetsk and Luhansk regions after withdrawing from Kherson.

The UN nuclear watchdog will conduct an assessment of the Zaporizhzhia nuclear power plant on Monday after the site was shelled more than a dozen times over the weekend. The blasts damaged buildings and equipment, though none had been “critical” for nuclear safety and security, the International Atomic Energy Agency said. Its head, Rafael Grossi, said the forces behind the shelling were “playing with fire”, adding that “it must stop immediately”.

Germany has offered Poland the Patriot missile defence system to help it to secure its airspace after a stray missile crashed in the country last week, the defence minister, Christine Lambrecht, said. “We have offered Poland support in securing airspace – with our Eurofighters and with Patriot air defence systems,” Lambrecht told the Rheinische Post and General Anzeiger. Ground-based air defence systems such as Raytheon’s Patriot are built to intercept incoming missiles.

Ukraine has denies its forces executed Russian prisoners of war, arguing its soldiers were defending themselves against Russians who feigned surrender. The Ukrainian parliament’s commissioner for human rights responded on Sunday to videos circulated on Russian social media this week purporting to show the bodies of Russian servicemen killed after surrendering to Ukrainian troops. Ukrainian ombudsman Dmytro Lubinets said “excerpts” of a video showed that Russians “using a staged capture ... committed a war crime by opening fire on the Ukrainian armed forces”. This means the soldiers “cannot be considered prisoners of war”, he said. A UN spokesperson told AFP it was “aware of the videos” and was “looking into them”.

Negotiating with Russia would be “capitulation”, a key adviser to the Ukrainian presidency has said. Mykhaylo Podolyak said attempts by the west to urge Ukraine to negotiate with Moscow were “bizarre” given a series of major military victories by Kyiv. He added it would mean that a country “that recovers its territories must capitulate to the country that is losing”. The comments come after recent US media reports that some senior officials were beginning to encourage Ukraine to consider talks.