2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

2017/8/28, Mon.

温もりはかすか、腹のあたりに寄ってくるものの、全体に涼しげな朝の街路である。表から裏へと折れてすぐ、盛りの百日紅の紅鶸色が家と家の合間に差しこまれているのが道の先に覗き、通りざまに横から見上げると、鮮色の満ち満ちたなかにまだひらいたばかり…

2017/8/27, Sun.

起き上がって枕に腰を乗せた窓辺に、細い湧き水のような、清潔なそよ風が流れ入る。陽の明るさに布団を干し、もう晩夏だが今年初めての西瓜など食べたのち、四時になって家を出た。すぐ傍の駐車場の脇から白く小さな花が咲き群れて、地から伸び上がり柵にま…

2017/8/25, Fri.

一週間の労働もこの日で終い、済めば二日の休みが待ち受けている金曜だが、それを思っても気持ちは特段晴れ晴れとせず、気怠いような朝の出発となった。昨日とは違ってこの日は風が走らず、坂に落ちる葉もなく、ただ蟬の声だけがうねりながら降る。街道を越…

2017/8/24, Thu.

続く暑さのせいで眠りの質が落ちでもしたか、身体のこごって頭が鈍く、脚も固い朝の道だった。家を出ると、林から葉が降っている。坂に入っても、まだ薄緑を余したものも茶色く変わったものもそれぞれに降って、風も感じられないのに、と思って上って行った…

2017/8/23, Wed.

目を覚ましてカーテンをめくると、久しぶりで晴れ晴れとした、濃く締まった青さの空が見られた。三四度まで上がると言われる猛暑が訪れ、早朝、家にいるあいだから肌は汗ばんでいた。行く手に太陽の浮かぶ朝の道は眩しい。しかしそれほどの陽射しの圧でなく…

2017/8/22, Tue.

朝の道に、久しぶりで薄陽が洩れている。さほど湿気た空気でもなく、閉塞感にも囲まれず、どちらかと言えば開放の感覚が大気中にあったようだ。裏路地の途中で陽射しがやや強まって、眩しさに視線を上げづらくなるが、熱が身体の前面に掛かってもやはり大し…

2017/8/21, Mon.

夜半頃から降り出した雨の名残があって、路面は湿り、やや霧っぽい朝の道だった。街道から見通した先の丘も姿を薄めて、空は鈍く濁った灰青に静まっている。裏路地に入ると、網状の蓋を四角く嵌められて排水口から、増水した流れの響きが吐き出されていた。…

2017/8/20, Sun.

大層な寝坊をして昼近くに覚めると、寝床が薄陽のなかにあった。久方ぶりの暑さと思ったがじきに曇って、図書館に向かう道中、木下坂を抜けると脇に停まった車の黒いガラスに、うっすら白い西の空が映りこんで太陽は稀薄に印される。東は水底に立つ砂煙のよ…

2017/8/19, Sat.

分厚い蟬の合唱が坂の全域に降って頭を包み、耳を聾せんばかりの、内に入りこんで侵さんばかりの騒がしさである。低みからは、連日の雨で勢いを増しているらしい沢のざわめきが加わっていた。雨も伝えられる曇り空だが、最寄り駅へと上る合間に肌は汗ばむ。…

2017/8/18, Fri.

玄関を出ると、湿り気の肌を囲んで重いような朝だった。低みに走る川から靄が湧いてわだかまっており、ある高さを境にぴたりと切れてまっすぐな上端を印すその濁りの、電線のあいだに見れば隙間なく緻密に蜘蛛の糸が張られたようだった。数日籠ったあとの外…

2017/8/14, Mon.

どこかの街に出かけて行きたい気持ちがあったが、同時に、起床が遅かったこともあって億劫でもあり、特段の目的地が思いつかずに結局自宅に留まったその代わりに、夕食後には軽い格好で近場を歩いて回った。昼に降っていた雨は大方止んでいたが、いまだぱら…

2017/8/12, Sat.

朝の九時前には車に乗りこんで、山梨にある父親の実家へと出発した。少ない眠りを補おうと瞼を閉ざしていたのだが、そうするとかえって車の揺れが三半規管に強く響いて、たちまち気分が悪くなった。視覚情報があって空間が定かに固まっていたほうが、まだし…

2017/8/10, Thu.

覚めた時から雨降りの、仄暗い朝だった。早朝から既に、窓の外は石灰水の色を満たされて霞んでいる。盛るでなく、軽く落ちて斜めに流れる雨粒に、道を行きながらスラックスを濡らされた。終盤では足先も少々湿り、雨は風を受けてほとんど水平に流れるような…

2017/8/9, Wed.

前日の疲労が残って身体がこごり、胸のあたりがとりわけ軋んで痛い目覚めだった。曇ってはいるものの、まだ微睡んでいたうちから凄まじい暑気の籠った朝で、起きてからも身の固さもあってだらだらと床に留まり、正午を回ってから部屋を出た。じきに雨が来る…

2017/8/8, Tue.

凄まじい湿気の室内に充満した曇天で、朝の早くから非常に蒸し暑かった。台風は石川の沖あたりに抜けたらしく、道に出るとほとんど降っていない。屋内を出てすぐには多少涼気も感じられたが、歩くうちに暑くもなって、風が止まればやはり蒸し暑さを逃れがた…

2017/8/7, Mon.

血の巡りがまだ鈍く、陽射しの露わなのにも怖気づいて、朝の出勤に電車を選んだ。肌に熱が押しつけられ、さらには貼りつけられるようだが、思いのほかに身体は定かで、それほど重さも感じず揺らがなかった。駅に行くまでは雲が湧きつつもどちらかと言えば青…

2017/8/5, Sat.

四月二〇日に兄夫婦に生まれた姪の百日祝いで、朝から都心へと出る都合だった。両親から少々遅れてゆったり歩く道の上、空は雲がちではあるが陽が露わに明るく、数日ぶりに肌を照られる感覚がある。暑気に浸けられながら最寄り駅へ行き、電車内では瞼を閉ざ…

2017/8/4, Fri.

早朝、新聞を取りに玄関を出ると、視界の端を擦るものに気が惹かれ、そちらを見れば雀の一団が地面に飛び降りているところだった。滑らかな軌跡で下草に降り立ってしばしののち、同じ流麗さでもって電線に戻り並んだ雀たちの、遠目に造型も定かならず、朝の…

2017/8/3, Thu.

坂を行けば頭上から、朝から早くも旺盛な蟬の声が宙を搔き毟るように降って、その外から鶯の音も一つ立った。ここのところ引き続いている曖昧な曇天に、昨日ほどではないにせよ、この日もかなり涼しく、過ごしやすかったはずだ。街道に出るまでは止まってい…

2017/8/2, Wed.

木下坂に吹く朝風の涼しくて、速まれば久しぶりで肌寒さすら感じさせるような曇天だった。気温はせいぜい二七度か二五度かそのくらいに留まった日で、歩いていて汗も湧かず、この夏に珍しく、蟬の声がまったく聞こえてこない道だった。裏道途中の家の百日紅…

2017/8/1, Tue.

天気予報を見ると夕方までずらりと降雨の図、朝にはまだ降り出していなかったが傘を持って出勤すると、果たして正午に到らないうちから始まって、職場を離れた夕刻にも続いていた。幾日か見ないうちに、裏道の中途の家を飾るピンクの百日紅が花を増やしてお…

2017/7/31, Mon.

宙を乱雑に搔き乱すような蟬の声が降り、濃青の瓦屋根に光が滑って、雲はくっきりと立つでもなくて形態がぼやけ気味だが、正午前の道には夏らしい匂いが薫っていた。最寄駅に着いて電車が入線してくるのを待っていると、陽射しに一瞬、くらりと軽く来た。眠…

2017/7/30, Sun.

この日もまた夕食後に歩きに出た。室内にいて気づかなかったが雨が通ったらしく、道は湿っており、かすかに名残った粒がぱらぱらと頼りなげに散っていた。三日連続、月の見えない暗夜で、この夜も道の先に灯った光の裏が大層暗く澱んで、家に挟まれて灯も乏…